2019.09
灌水施設における逆流の実証実験を行いました。
№07
逆流実証実験の水槽 逆流実証実験の概要図
誰もが簡単にタイマー設定にて自動で散水できる「自動散水システム(特殊器具)」が普及しつつあります。このシステムは、コントローラと散水チューブとのセットで、ホームセンター等で誰でも購入できます。
ここで危険なのは、植栽等の周辺には化学肥料等が撒かれており、配水管の負圧発生時(配水管の大規模破損・火災発生時等)における化学肥料等の配水管への逆流です。
官公庁等の大規模な建物の周りや公園等においては、当然その逆流防止策として「貯水槽給水」すなわち、直結直圧の給水を一旦「受水槽」に入れ、その二次側にて加圧送水ポンプを設置して「自動散水システム」へ水を供給していると思いますが、小規模な建物の周りや公園等においては、どのような逆流防止策を取っているでしょうか??。給水装置に携わる当社として、少し心配です・・・。
逆流の実証実験の様子
小穴チューブの弁【開】 同左チューブからの逆流(水量:少) 大穴チューブからの逆流(水量:多)
①実験水槽に実験チューブを這わせ、②水を注入し、③水槽に入浴剤を入れて着色(グリーン)し、④注水側のコック(ボール弁)を開けると、⑤水槽内の着色された水がビーカー内に流れ出ました。(高低差は約50cm)
以外だったことは、ポリチューブ(小穴)と多孔(スポンジ型)の流出水量の比較では、多孔(スポンジ型)が断然多かったことです。当然ですが、融雪チューブ(大穴)が桁違いに一番多く流出していました。
地面に這わせた状態 空中配管の状態 畑作農家の自動散水
写 真 左:地面に穴開き散水パイプをそのまま地面に這わせた状態
写真 中央:支持金物を使用して散水パイプを空中配管の状態
写 真 右:畑作農家の自動散水の水源が地下水や河川水の場合は、上水道の配水管への逆流の心配は不要。ただし、地下水等へは………
ここで、当社が考えられる様々なタイプの散水パイプにおける配水管への逆流防止策は、以下の通りです。
自動散水栓等(灌水&融雪システム)周りの配管概要図(例)
化学肥料等の配水管への逆流防止策としては、散水システムの一次側に減圧式逆流防止器又は複式逆止弁(バネ式)、及び吸排気弁をセット設置することをお勧めします。
ただし、一戸建て住宅や集合住宅等の小規模な灌水システムや融雪システムにおいては、システム一次側に複式逆止弁(バネ式)又は逆止弁(リフト式)を設置し弁ボックス等に納め、吸排気弁とのセット設置も良いのではと考えています。
地上設置の減圧式逆流防止装置・複式逆止弁(バネ)・逆止弁(リフト式)及び吸排気弁周りの配管要領図
給水装置に係る特殊器具、特に循環式給湯システム、残留塩素を減少させない浄水器及び自動散水栓等(灌水&融雪システム)等を設置する場合は、配水管への逆流防止措置として減圧式逆流防止器等と吸排気弁とのセットを設置することをお勧めします。