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 2016.11.12

京都の琵琶湖疏水記念館を見学いたしました。

№03

琵琶湖疏水の「水路閣」の説明      法面補修による「工事中」の案内        昔の南禅寺船溜にある「噴水」の説明

 京都水道展の終了後、紅葉で名高い永観堂禅林寺のライトアップされたモミジを堪能し、翌日本命の、国の史跡指定となっている有名な「水路閣」「琵琶湖疏水記念館」を見学して参りました。
 「水路閣」においては、残念なことに法面の補修工事中のため見れず・・・。(上から降りてきた観光客の方から、「少し上へ行くと見れますヨ。」と、教えていただき・・・。)一箇所でのみ、琵琶湖からの少水量の流れでしたが見ることができました。
   

大きな発電用の「水車」            水道普及のための「共用栓」          蹴上インクラインの「模型」

 琵琶湖疏水記念館では、直径2.4mの大きな発電用ペルトン式水車の他、南禅寺船溜や国の史跡に指定されている蹴上インクライン(傾斜鉄道)等の当時の舟運の写真や模型等を見学させていただき、当時の疏水事業のスケールの大きさに只々ビックリいたしました。
  

 

琵琶湖疏水記念館裏の「噴水」の説明(上記看板の一部拡大)             記念館のテラスにて「噴水」を背景に…………

 

 記念館にて一番興味を抱いたのは、記念館裏のテラスから見えた「噴水」とその「説明看板」でした。
 看板のイラストでも分かるように、「噴水」のある水面とその水面より高所にある水面との高低差を利用した、すなわち、「逆サイフォンの原理」を利用した電気を使わない自然の力を利用した噴水です。 
 
 その時、脳裏に浮かんだことが、10年程前、大学のある先生からのご依頼で、「兼六園の噴水」の写真を撮りに行ったことです。その折、ネット等で調べたことですが、この噴水の水源となる水は、辰巳用水、すなわち、犀川上流を水源として、約4kmの手掘りのトンネル導水管と開水路を経て、総延長14 kmにて兼六園の霞ヶ池に一旦貯水され、逆サイフォン(土木用語:伏越[ふせごし])の原理にて金沢城内の二の丸まで揚水するという、日本初の工法にての大事業であることから、その「逆サイフォン」の試作として作られたのが、現在、霞ヶ池の北西に在る日本最古の噴水だそうです。 
 

 

左:兼六園内の『噴水他の位置図』       右上:金沢城二の丸の「取水口」     右下:日本最古の「噴水」

 「霞が池」を高所の水源とする「日本最古の噴水」は、その高さ3.5mの高低差の力のみの「自然の噴水」であり、上述の記念館裏の「自然の噴水」と同じ原理(逆サイフォン)によるものです。

 

 

給水立管よりの分岐位置が流し台の溢れ面より高い位置の場合、立管の「負圧発生時」においても、分岐以降の給水管内の全ての水は逆流しません。

 

給水立管よりの分岐位置が流し台の溢れ面より低い位置の場合、立管の「負圧発生時」においては、分岐以降の給水管内の全ての水は逆流します。

  

 上述の「琵琶湖疏水記念館の噴水」と「兼六園の噴水」の二例は、逆サイフォンの原理を良い方向に活用した例ですが、ここでは、建物内の給水立管とその各階の分岐給水管における「逆サイフォン」について説明させていただきます。
 上図は、給水立管における給水分岐部の高さが、流し台の溢れ面より300㎜高い位置で、給水立管頂部には「吸排気弁」が設置された例です。
 上図は、給水立管における給水分岐部の高さが、流し台の溢れ面より低い位置で、給水立管頂部には「閉じた止水栓」が設置された例です。
 及びにおける給水立管の「負圧発生時」について、以下、説明いたします。

≪噴水の上がる高さは、上部の水槽の水面より絶対に高くは揚がらない!!。管内摩擦抵抗の分、絶対低い!!。≫
    1.  ❷の場合;負圧発生時、立管頂部の吸排気弁が『開』➡給水管分岐部の高さは流し台溢れ面より上➡各階の分岐給水管内の水は逆流なし
    2.  ➍の場合;負圧発生時、立管頂部の止水栓が『閉』➡給水管分岐部の高さは流し台溢れ面より下➡各階の分岐給水管内の水は全て逆流あり

 
 二例の「逆サイフォン」の例より、建物内の給水立管における適正な逆流の防止策としての現象は、上図の配管例が正解であると述べましたが、2016.05のニュースにおける株式会社日邦バルブさんのテクニカルセンターでの「逆流における実証実験」の見学の際に、透明の給水管内を流れる着色水(緑色)の流れの状況にて確認した事実】でもあります。