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 2016.05.18

給水装置の逆流に関する実証実験を見学いたしました。

№02

高&低の給水分岐 と 分岐部の水あるセンサー(水圧自動記録用)

 
 株式会社日邦バルブさんにお願いし、長野県松本市にある同社内のテクニカルセンターに設置されている『5階建て直結給水システム実験設備』を見学させていただきました。
 この『5階建て直結給水システム実験設備』の施設は、(公財)給水工事技術振興財団、国立保健医療科学院及び給水システム協会の三者における「中高層建物の直結給水システムにおける5階建て直結給水システム実態調査」にも利用されていました。

実験施設の概要図

 
 当社が水道事業体様から受託している『給水装置工事施行指針』&『給水便覧』の構築の際、水道事業体様にとって重要な事項は、
  Ⅰ.給水装置所有者様や給水使用者の方々への各種サービスの提供及び向上
  Ⅱ.給水装置から配水管への逆流防止措置、及び集合住宅内の各住戸間の逆流防止措置
  Ⅲ.給水使用者の方々への水量・水圧の安定供給 すなわち『快適な水環境の確立・保持』の提供
 であるとの考えの下、特に【Ⅱ】に関しては以下の事項を十数年前から『指針&便覧』に明記し、水道事業体様のご担当者様には説明して参りました。

 

 
 しかし現実には、給水装置(給水設備工事)の設計技術者及び給水装置工事の申請をする給水装置工事主任技術者の方まで、『逆流防止対策の措置』の必要性を十分に認識していただくことが難しく、当社技術者は、水理計算を含む給水装置工事申請書のチェック〔受託業務の一環〕の際、ジレンマを何時も痛感していました。
   今回の『5階建て直結給水システム実験設備』の見学においての日邦バルブさんの解り易いご説明と、透明管で配管された給水立管内の落水(逆流)実験(配水管の漏水等による立管内の負圧発生を想定)による最上階(5階フロアー)に設置された実験水槽内の水及び給水立管分岐部から水槽までの給水管(給水横引管)内の水の挙動、及び、各階・各箇所に設けられた圧力センサーによる計測値にて、給水立管の各階分岐位置(FL+1,200)及び給水立管の最頂部に設置された『吸排気弁』の重要性を、目の前での『実験設備』を観察して痛感するとともに、今後の(公財)給水工事技術振興財団様からの『5階建て直結給水システム実態調査結果』の発表が待ち遠しく思いました。 

この『実験設備』は、水道事業に携わる技術者の方々には必見で~す!!

 参考までに、平成27年度全国会議(水道研究発表会)講演集に記載の実験結果の一部を掲載させていただきます。

(以下のウンチクより、『実験設備』の現地見学が一番ですが・・・。)

 下表は、給水立管からの給水横引管の分岐高さ別(FL+1,200 と +300)、給水立管最頂部の吸排気弁の有無、及び給水立管の形状(同一口径と竹の子状口径)による逆流に関する各種比較表等です。詳細に関しては、平成27年度全国会議(水道研究発表会)講演集を参考にして、是非、長野県の松本テクニカルセンターの『5階建て直結給水システム実験設備』を見学して下さい。

 
 

 下記は、立管頂部に設置の「吸排気弁」又は「空気弁」の違いによる各階立管分岐部に設置の圧力センサーによる「圧力変化のグラフ」です。
 「吸排気弁」より「空気弁」の方が立管内の負圧値は大きく、且つ、負圧解消に時間がかかっていることが顕著に表れています。
 

給水立管内の負圧発生状況

 
 

 上記の表やグラフでは、従来からの「空気弁」と直結増圧給水採用時に設置する「吸排気弁」との『圧力差』が顕著に表れています。
 すなわち、貯水槽給水から直結増圧給水に切り替える際には、必ず給水立管最頂部に設置されている既設の「空気弁」 を 「吸排気弁」 に取替えることが必要であり、また、最頂部が「バルブ止め」「プラグ止め」の場合にも、 新たに、「吸排気弁」を設置することが必要となります。

 

見学の際にいただいた「吸排気弁」のカタログより             現場写真より

 

         吸排気弁回り施工例

 
 最後になりましたが、長時間、技術本部長様や技術部の方々には、貴重なお時間を割いて私どもにご教授を賜り、本当に勉強になりました。誠に有難うございました。